静岡県三島市の一軒家ギャラリーにて、展示が変わる毎に、『作家〇〇さんから連想する料理』と題して約一年間、オープニングパーティーを担当しました。

2019年2月 The gallery Mishima 「断面写真家 菅沼靖幸から連想する料理」
2019年4月 The gallery Mishima 「写真家Minoru Okabeから連想する料理」 
2019年7月 The gallery Mishima 「画家 片岡 永俐那から連想する料理」
2019年8月 The gallery Mishima 「舞台The Sharakuを喰らう」 

作家は、個展のギリギリまで展示する内容やコンセプトが決めきれなかったり、制作が追いつかない場合もあるので、事前に『絶対に展示したい作品』を鑑賞させていただき、お話を伺いながら、お人柄やアート制作の裏側を深掘りします。

一度で情報が足りない場合は、何度か作品を見せていただいたり、雑談やこれまでの創作や人生のお話を聞いたりしました。

絵や写真、立体作品など、どれもそれぞれの生き様が詰まっているのがアートです。

とはいえ、良い作品を世に出しても、「アートは難しい」「敷居が高い」「価格が高い」と、思われてしまうのも日本でアートが普及しにくい理由の一つ。

作家が在廊していても伝えるのは難しいものです。(※もちろん、鑑賞するだけでも感情の起伏はあると思いますが、もう一歩という意味です。)

そこで…

「わたしがお客様の胃袋をつかんで、作品の面白さや想いを“代弁”します!」

という気持ちで取り組んでいました。

担当させていただいたどの作家も豊かな作風で、今では良き先輩たちです。

写真家・岡部稔さんの作品は、抽象画のような写真が特徴ですが、「何を撮ったものか教えるのは野暮だから…自分で勝手に想像してちょうだい。」というスタイルでした。

そのため、一枚の作品から勝手に物語を想像し、料理や空間をつくりました。

大人気のワイヤーアートは好きなだけ使って良いよ!と言ってくださったので、ふんだんに。

「写真作品を始めたのは、とある理由で千本浜を散歩する時間が長かったからブルーシートや船の傷跡に面白い模様を見つけて写真を撮るようになった。」というお話しだったので、ブルーシートや千本浜の流木や石ころを探してきて、テーブルインスタレーションに千本浜海岸の波を想像して組みました。

写真家 岡部稔さんから連想する料理

(引用元:岡部稔 氏https://www.instagram.com/improvisation4704/

皆さんはこちらの作品、どう見えますか?タイトルはなく、何を撮ったものもなのかも想像にまかせするのが岡部さん流。

この作品から始まり、他の岡部さん作品にストーリーを連想し、料理に変えて皆さんに召し上がっていただきました。作品から連想する料理を食べながら、「私にはこう見える」と意見が飛び交い、対話型鑑賞のようなオープニングパーティーとなりました。

デートの装いをしたカリッとした紳士。
恋焦がれる娼婦に愛を伝えるため毎夜、金を払う。
女は愛に応えることはないが、紳士はそれで満足だった。
なぜなら年老いた彼は、これまでセピアに暮らし、色を知らなかった。
彼女に出会い、“紅い思い”を知ったのだ。
人を愛することで、人生の終わりに、危うく美しい色々を知った。
彼のエンディングは幸せな愛に満ちていた。 
「愛のある人生だった。」 愛を想ってひとり、目を閉じた。

岡部稔さん作品から連想した料理のストーリー

2019年4月20日開催の様子

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