■Concept
現代社会のMONSTERには2通りある。
ひとつは、映画に登場するような姿形のある怪獣。もうひとつは、特定の人や多数の“世間”に対し勝手に作り上げてしまう、目には見えない狂気。
コロナウィルスによって、後者はより一層わたしたちを脅かす存在になった。何より、カフェやレストランの壁には「黙食」と書かれた品のないステッカーが侵略し、人と食事をすることが悪いことのように取り沙汰されてしまった。
これまでずっと食の世界に生きてきた者としては、悔しさが込み上げてきた。
そこで、“自然な黙食を演出できる食事会”を開催しようと考えた。
Mineko Koyamaの頭の中で作り出してしまうMONSTER(目には見えない狂気)をコース料理で表現し、ゲストには食べる行為により、“9つの問い”の答えを考えてもらう。作品を鑑賞することを極める、【対話型鑑賞】にも似た体験だ。メニューブックに沿って内省をすることで、これまで逃げていたMONSTERとしっかり向き合うことができる。
デザートを食べ終わる頃には、なぜだか活力と自信が湧いてくるはずだ。そしていつの間にかMONSTERは消え、センス・オフ・ワンダーに心を躍らせているに違いない。
“食べる”という本能的作業は、ストーリーを重ねることで、生き方そのものにも栄養が行き渡るからだ。
次はあなたの番。あなたなら、一体どんなMONSTERを喰らおうかと、想像を膨らませてみてほしい。心に傷を負うのはやめて、ぜひ一緒に、戦いの跡を彩ろう。